症例29:コロナウイルス性肺炎
<解説>
COVID-19とはcoronavirus disease 2019(2019年に発生した新型コロナウイルス感染症)を略した言葉であり、SARS-CoV-2と呼ばれるウイルスが原因で起きる感染症。2019年の終わり頃の発生を皮切りに、世界中に感染が拡大している。
一般的な症状は、発熱、咳および倦怠感。重症化も一定程度認められ、呼吸困難を引き起こすことがある。高齢者や高血圧、糖尿病などの基礎疾患を持つ場合には、感染によって重症化するリスクが高くなる。
<画像の解説>
- CT
CTは胸部単純X線撮影と比較して肺炎の早期診断や合併症の有無、鑑別診断に有用。しかし、CTの診断能には限界があること、CT検査室での感染拡散のリスクなどもある為、十分に考慮しCTの適応を判断することが重要。
典型的な所見
- 初期は片側性ないし両側性の胸膜直下のすりガラス影、背側または下葉優位
- 円形の多巣性のすりガラス影
- 進行するとcrazy-paving patternやコンソリデーションなどの割合が増加
- 器質化を反映した索状影の混在
非典型的な所見
- すりガラス影を伴わない区域性の浸潤影
- 空洞、境界明瞭な結節・腫瘤
- 小葉中心性の粒状影、tree-in-bud appearance
- 胸水(重症例ではみられることがある)
<まとめ>
- 典型的な所見では、片側性ないし両側性の胸膜直下のすりガラス影、背側または下葉優位、円形の多巣性のすりガラス影
- 非典型的な所見ではすりガラス影を伴わない区域性の浸潤影
- 特徴的なCT所見が報告されているが、他のウイルス性肺炎や特発性器質化肺炎、慢性好酸球性肺炎等の他疾患とのオーバーラップがあり、有病率の小さい集団においては、偽陽性例の影響が高い。
参照:日本医学放射線学会、新型コロナウイルス感染症肺炎の臨床