症例3.遠隔画像診断事業:症例紹介<胸鎖乳突筋内膿瘍>
遠隔画像診断事業スタッフより、勉強の為、これは!?と感じた症例を、定期的にブログでご紹介していきます。
今回は、「胸鎖乳突筋内膿瘍」についてご紹介します。
弊社数十万件もの症例の中で、一桁の症例、「胸鎖乳突筋内膿瘍」について、色々と調べてみました。当社のホームページでのアクセス数、第3位の症例です!
<臨床情報>
80代女性
両側頸部腫瘤疑い
両側頸部に腫脹を認め、CT精査となる。左胸鎖乳突筋内にLDA(+)。
全身スクリーニングもお願いします。
<所見>
左胸鎖乳突筋内に低吸収域を認めます。
単純CT上は鑑別困難ですが、abscessや陳旧性血腫などの可能性がある所見です。
出来れば、造影CTやMRIで精査をお願いします。
深頸部膿瘍は、合体乳突炎の側頭内合併症であり、感染は胸鎖乳突筋(SCM)筋の付着部の外側の乳様突起皮質を介して侵食されます。感染がこのスペースに到達すると、側頭下窩に進行し、深頸筋膜の投資層まで深く移動します。この層での感染の拡大は、進行性蜂巣炎/膿瘍を引き起こす可能性がありますが、頸動脈鞘に向かって進行する可能性があり、内頸静脈の血栓症が発生する可能性があります。
抗生物質の導入以来、胸鎖乳突筋内膿瘍(ベゾルド膿瘍)の報告された症例数は大幅に減少したそうです。
鑑別として、
・その他の深頸部膿瘍(副咽頭、後咽頭、歯原性など)
・皮膚膿瘍
・化膿性リンパ節症
・悪性腫瘍
・耳下腺の悪性腫瘍
・化膿性耳下腺炎
・融合性乳様突起炎
などが挙がるそうです。
頸部病変は、会話や飲食時などに違和感に気づくことも多いと思います。頸部に限らず、体調に異変を感じたら早めに病院を受診して、早期発見・早期治療が大切だと感じました。
また、頸部の解剖知識と合わせて、画像的にどう見えるのか、正しい理解を心がけていきたいと思います。
投稿者:うえの